Daigoさんは、たんなる利己主義者?

Daigoさんは、たんなる利己主義者?       2021年 8月 

 

  世の中の時事ネタには、普段あまり興味が持てないのだが、この事例に関しては、少し違って いた。  もともと、今回問題発言をしたメンタリストの方にはまったく関心はなく、彼の動画自体もほ とんど観たことはなかったが、今回の問題発言の一端に、飼い主のいない猫(俗に言われるのら猫のこと)や自身の猫にまつわる発言が出 されていたということで、保護猫に関わる立場上、関心を持たざるを得ない心境になった。
   彼の問題発言のなかで、一番非難を浴びている点として、ホームレス、生活保護を受けている人 達の存在価値に差別的に言及した点にあると思っている。  猫の存在とホームレスや生活保護受給者を比べる事自体が、ナンセンスなのだが、一番の問題 点は、彼のようにインフルエンサーとして、世間に一定の影響力を持つ立場の人が、もともと自 分は非常識な人間という自己の言い訳では通用しないことの無自覚さ、故に、世の中に対立を招 きかねない悪影響を与える恐れがある立場という自己の危機意識が欠落している点。
 
 DAIGOさんに直接聞いてみたい事柄、気づいた二点をあげてみたい。
 

 その1

 世の中で一種の不満や不公平感の発露として、まことしやかに囁かれている、生活保護 の不正受給者に関して、それがどの程度の信憑性、ファクターを持って、批判、抗議的な発信に至っ たのか、、。ホームレスの方や生活保護受給者の方々をひとくくりに発言することは、間違ってい ることだという認識があるのかどうか。
 

 その2

 記憶に新しい事件として、2020年3月に岐阜で起こったホームレスの高齢者が大学生 数人にリンチされたあげく殺された殺害事件はご存知なのかということ。  その高齢者の方は、ご自分自身がホームレスという明日はどうなるかわからないような境遇に 身を置きながらも、数匹の飼い主のいない猫の世話を必死でされていて、その猫たちを虐待者たちから守 るために、結局はご自身の命をまで奪われることになってしまった経緯、事実をご存知かどう か。

 この2点を質問してみたいところだが、 2のホームレス殺人事件に関して、少しだけ感想として、触れておくと、 世間的にみたら社会的な弱者として認識されやすいホームレスさんだからこそ、人間の身勝手な 都合によって、捨てられ、繁殖した結果故、不憫な飼い主のいない猫たちに対する慈愛の念が感じられ、 ご自身の立場上、誰よりも身を以てわかっていらしたように、わたしには感じられたので、殺人 者たちの愉快犯的なこの殺人事件には、生命の営みとしての道理もわかっていないんじゃないか と、虚しい気持ちがよぎった。

  愉快犯にあるのは、自我から噴出する究極的な快楽のみであり、他の存在を貶めても、後ろめ たさ、疚しさも虐めたり殺めることに罪悪感も感じないこころであり、そこには道徳心のかけら もない。  一方のホームレスさんには、他の生命を重んじるまっとうな道徳心が歴然とある。しかも普段 野球をやっていた体力のみなぎるスポーツ青年たちに襲われた際に、そのホームレスさんは、一 緒にいた同じ年代の婦人を庇って先に逃がすという自己犠牲的な行動もとっている。

  土壇場にきて、自分の命をかけて、他を尊重できる人間がどれほどいるのかどうか、、、。そこには、おそらく、動機として自我からの執着心ではなく、普遍的な意味で利他の精神しかなかったように思える。
 わたし自身としては、あらゆる不幸で身勝手な殺害事件の根底に巣食っているのは、自我の肥 大化した世の中の権力的な支配構造や力のアンバランス、アンモラルな対立の暗澹とした思いに かられ、世界、生命、万物、いや宇宙のほんとうの真理とは何か・・・?という問いかけが一層 深くなってくる。
   アンモラルな発言に傾いたDAIGOさんに欠けているのは、実のところは、そうした真理への探 究心であるように感じてしまう。  メンタリストというだけあって、精神分析的、あるいは心理学的な見地から、知性的に人間存 在にフォーカスしている立場、つまりは科学の立場を取って、これまでの発言に信憑性を持たせ ているに過ぎないので、、そうしたところから偏った問題発言をしてしまうことで、DAIGO さんというのは、理性的な人というよりは、感情論に走りやすい人のような印象すら受けてしま う。  知性的に認識というレベルでは理解して開き直ることはあっても、おそらくは情緒的にはここ ろでは差別的なアンモラルな発言に対し、傷ついた人もいることがほんとうに悪いことだとは、 感じられていない可能性もある。精神と物質というものの定義自体が、もしかしたら、わたしと は噛み合ない可能性もあるけれど。  謝罪というのは、受け手がほんとうに納得できないことには、口で謝って済むなら警察は要ら ない式になってしまう。

  ギリシャ哲学者のソクラテス曰く、「無知の知」と表現しているくらいなのだから、飼い主のいない猫と自 分の飼い猫に対して発言されるのだったら、論理的には整合性を持たせ、道徳的には謙虚な姿勢 になられて、飼い主のいない猫を守りながらも社会的な弱者として命を奪われたホームレス殺人事件を詳し く調べられたりして、彼の言ってることがいかに浅い見識かということを、もう真摯に考えてみら れたらどうかなと思う。自我の肥大化による自己主張には、終局的には説得力は消えてしまうと いうことを。
 

 最後に、ホームレスさんのご冥福を祈ると共に、、daigoさんに向けて、イエスさまの発言を引用しようと思う。  

マルコの福音書から
金持ちの男 とやもめの献金


をどうぞ皆様も探して読んでみてくださいな。。

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